ぱとすの人

短歌同人誌「ぱとす」に掲載した文章や編集後記を公開します。

ぱとす2023年1・2月号後記

明けましておめでとうございます。発行が少し遅れましたが、本年もよろしくお願いします。

正月明けの最初の三連休に日蓮宗本山の池上本門寺に行ってお参りしました。本門寺に隣接する池上大坊本行寺には日蓮大聖人ご臨終の間というものがあり、そのお堂の前に有名な御会式桜が植えられています。この桜はあまり見栄えのする花ではありませんが、いつ行って見ても可憐な花が枝に付いているような気がします。日蓮聖人が亡くなられた秋に桜が咲いていたという故事から御会式桜が植えられ大切にされてきたそうです。
寒い季節に咲く桜はなんだか霊妙で、私はこの桜と青空をともに見上げるといつも不思議な気持ちになり我を忘れて見惚れてしまいます。

令和四年の冬は新型コロナの感染者の爆発的増加とロシアのウクライナ侵攻の話題で持ち切りでした。春になっても戦争は終らず、円が急落して二十年ぶりの円安水準を更新しました。
七月の参院選の直前に安倍元首相が暗殺され、それからは旧統一教会と政治家との関係をめぐる問題がずっとテレビ、新聞の見出しを独占する状態となりました。
今年もこれらの問題がいずれも解決していないことから、この延長として時代の姿が形づくられていきます。日本にこれほどバカバカしくくだらない時代はかつてありませんでしたから、こんな時代に人生を終えねばならない高齢者は本当に気の毒だと思います。

私はもう年賀状を出していませんが、いただけるといつも嬉しく拝読しています。本年が皆さまにとって良い年となりますようお祈り申し上げます。

(「ぱとす」令和5年1・2月号より)