ぱとすの人

短歌同人誌「ぱとす」に掲載した文章や編集後記を公開します。

2024-01-01から1年間の記事一覧

『岡野弘彦全歌集』ノート其の七

・しづまりし湖のみぎはのさざ浪に月照りてくるを見てい寝むとす(「さざ浪の国」)・近江の湖塩津の浦に寄る波のさゐさゐとしてさびしき真昼(「さざ浪の国」)・早苗田の棚田のなかを流れゆく八田部の川の瀬の音すみくる(「さざ浪の国」)・水底の藻草の…

ぱとす2024年春号後記

本年の「ぱとす」第一号をお届けします。今年から雑誌「ぱとす」は季刊になりました。復刊から二年半、隔月刊で発行してきましたが、つくづくこの雑誌が嫌になりました・・・・・・というのはウソで、バックナンバーをつらつら眺めるとまるで我が子のように愛しく…

『岡野弘彦全歌集』ノート其の六

・猩々木道をうづめて咲きつづく名護の入江に人を訪ひきつ(「妣の島」)・ベトナムへたちゆく兵に犯されし女の末を憤りいふ(「妣の島」)・言ふことはつたなけれども老いびとの歎くまなこの澄みてはげしき(「妣の島」)・仏桑華くれなゐふかく咲き垂るる…