ぱとすの人

短歌同人誌「ぱとす」に掲載した文章や編集後記を公開します。

ぱとす2023年5・6月号後記

「交差点」 ©ナカジマ・ヨシモリ

 本年第三号をお届けします。「ぱとす」はこれで二年間雑誌を発行できたことになります。ちょうど二年前の今ごろは、復刊第一号に参加してくれる同人を募っていました。その時に参加してくれた同人のうち何人かは、残念ながらすでにぱとすから去っていかれました。私は歌壇で活躍するような著名歌人ではなく、また歌集もこれまで私家版のものを一冊出しただけですから、私のような素人の歌人が始めた短歌会に一時期でも参加して下さったことはとてもありがたく、「ぱとす」のバックナンバーで懐かしく皆さんの作品を読むことがあります。

 表紙の絵は、今回も写実画家のナカジマ・ヨシモリさんの作品を使わせていただきました。交差点を渡るとき、人は未来への一歩を踏み出します。日差しの強いこの時期の交差点は異世界へ繋がる扉のようでもあり、私たちはアスファルトの道を踏みしめて現在の先へと時間をくぐり抜けていくように渡っていきます。

 先月で私は五十五歳になりました。一昔前の勤め人でしたらもう定年が近づいてくる年齢です。今は七十歳を越えても働くのが普通のことのようになりました。将来のことは、本当は誰にもわかりません。私たちは今の自分のこころを大事にして歌を作っていきたいです。

(「ぱとす」5・6月号より)

「ぱとす」2023年5・6月号表紙