本年第二号をお届けします。東京はもう桜が咲いています。
本当はもっと早くこの号を出すつもりでした。公私にわたりトラブル続きで時間がなく、今ごろの発行となりました。
短歌同人誌ですから編集後記にも文学の話を書くべきだと思いますが、最近はほとんど小説さえ読まずに生活しています。日本の古典文学をきちんと学びたいのですが、それも果たせずにおります。
文学をやっていないと、物事の微妙な違いがわからなくなります。つまり無神経で野暮な人間になるのです。論理的な言葉によるコミュニケーションはAIの発展でだいぶ楽になっていくでしょう。しかし、文学の言葉はおそらくいくらAIに学習させてても理解されないのではないでしょうか。
インターネットを使い慣れている現代人こそ文学をやらなければなりません。
表紙の絵は写実画家のナカジマ・ヨシモリさんの作品を使わせていただきました。私は自分の短歌もこの絵の中で描かれているいろいろな落書きのようなものだと考えています。落書きは暗い人間による寂しい自己表現です。
止むに止まれず私は歌を詠みます。あなたも私もみんな都市に暮らす芸術家なのです。
(「ぱとす」3・4月号より)